最近、デザイン思考というのが非常にはやっています。
そのプロセス自体は、ISOとして国際標準にもなっており、最近のはやりです。その大きな流れは、
①理解、②観察、③視覚化、④評価と改良(プロトタイプ作成)、⑤実現
であり、これにより新しいイノベーションを起こすというものです。シリコンバレーでイノベーションを起こすのに役立っているとのことで、様々な図書も出ています。事例を交えながら説明している本として、下記の図書がわかりやすくいいかなと思います。
実践 スタンフォード式 デザイン思考 世界一クリエイティブな問題解決 (できるビジネス)
ジャスパー・ウ (著), 見崎大悟 (監修)
しかしながら、実はこれよりずっと以前に日本人がこれと同等のプロセスを提言していました。川喜田二郎によるKJ法です。Project Management Institution(“PMI”)が発行しているプロジェクトマネジメントのガイドラインであるPMBOKにも出てきます。この手法は、考えを文章化することが主な目的でしたが、まさにデザイン思考です。
こう考えると、日本人は非常に優れた発想を持っていても、それを標準化して広げるというのが本当に不得意です。
私は土木が専門ですが、コンクリートダムの建設手法に、RCC:Rolled Compacted Concrete法があるのですが、これを広まる以前に、RCD:Rolled Compacted Dam concreteという、少し細部で違う方法を発明していました。これも、細部の問題で普及させるための標準化ができなかったために(手間暇がかかる)、これをヒントにしたヨーロッパ人がRCCを広めたのです。
PMBOKなどで記載されているプロジェクトマネジメントの内容は、日本人ならば普通にやっていることが多いです。しかし、個人の知識または職人技というように文字にされていないことが多く、標準化があまりなされていません。標準化を行うか行わないかで世の中、特に世界への普及率がことなり、結局、ハイコンテクスト文化圏(日本)だけならば暗黙知は効率的なのですが、これがローコンテクスト(アメリカやヨーロッパなどの多くの国)になってくると、そうはいかず、世界の多くがその文化圏というところで、日本は損している感じだと思います。