WACC とは、加重平均資本コスト ( Weighted Average Cost of Capital )のことで、会計・財務の分野でよく使われている概念です。
企業が事業を行うには、資金が必要ですが、資金を調達するには2つの方法があります。
銀行などからの借り入れ(融資) Debt |
投資家(株主)からの投資 Equity |
借入にかかるコスト( 負債コスト )と資本調達にかかるコスト( 資本コスト )を加重平均したものになります。これは、負債には 利子 を支払い、投資家から預かったお金には 配当 を支払う必要があります。つまり、企業が最低限あげなければならない期待(要求)収益率とも言えます。調達資金をAとすると
A・Rd・rd・(1-t) + A・Re・re
A: 調達資金
Rd、Re: 負債 、 資本 の比
rd、re:負債 の金利、資本 のリターン
t:税率
であり、割合で表したものが WACC になりますので、
WACC =Rd・rd・(1-t) +Re・re
となります。
例えば、資金調達の70%を 負債 、30%を 投資 に基づく事業があるとします。この事業で資金調達した(平均) 負債コスト が6%、投資家が期待するリターンが10%、法人税率が40%としますと、
0.7 x 0.06 x (1-0.4) + 0.3 x 0.1 = 0.055
つまり、5.5%が WACC となります。
負債コスト は比較的計算しやすく、債権者に対して支払うコストというのは、主に利息(金利)です。ただし、銀行等に借り入れする場合、金利以外の費用も掛かりますので、そのあたりも考慮する必要があります。一方、投資家が期待するリターンというのは、業界により変わってきます。理論として Capital Asset Pricing Model ( CAPM )と呼ばれる算出方法等がありますが、これはセクター毎に凡その値があります。日本の電力セクターの場合、済産業省の資料を参考に(P10)、電力として5%程度が仮定できるかと思います。
財務分析 等でもよくつかったりしますが、より詳しく知りたい方は、下記の図書を参考にされてはいかがでしょうか。
グロービス経営大学院