スコープ とは?
スコープ (Scope)とは、仕事の責任範囲を意味しており、プロジェクト の目的(目標)を達成するための業務内容となります。PMBOK では、プロジェクト を構成する要素作業を アクティビティ ( Activities )と定義しています。
スコープ 管理計画で行う内容は、 Work Breakdown Structure ( WBS )とこの アクティビティを作成することになります。プロジェクト を管理していくためには、 プロジェクト を、できる限り具体的にしていく必要があり、これを段階的に分解していきます。この各々の要素が アクティビティ であり、アクティビティの最小単位をまとめたものを Work Package ( WP )と呼んでいます。この WP に、人、金、ものというリソースを割り当てていきます。図1に示しますように、 プロジェクト憲章 にある要求事項と スコープ の内容( インプット )から WBS を作成し、 Work Package に リソース を割り当てていきます( アウトプット )。 WBS は、 プロジェクト と リソース をつなげる土台(Cornerstone)と言えます。概念とて図1がイメージしやすいかと思います。
WBSは、プロジェクトと各リソースをつなげる土台。
WBS の作り方
WBS の作成手法
WBS の作り方にはトップダウンによる方法とボトムアップによる方法があります。トップダウン法 では、ある程度、実施すべき内容が決まっている場合は使いやすいと思います。演繹的な感じのやり方です。一方、ボトムアップ法 の場合は、プロジェクトの目標がこれまでになく、できるだけ多くの知見により、より作業が具体化しやすいという際に適用します。 ブレーンストーミング や 親和法 などを使って、 WBS を作っていきます。いわゆる帰納法的なやり方であり、この方法は、開発において スクラム手法 を使う場合、 プロダクトバックログ を作るときにも用いることもできます。
WBS作成には、トップダウン法とボトムアップ法がある。
トップダウン法
再エネ 事業はどちらかといえば、こちらの方法を適用すると WBS は作りやすいと思います。日本であれば、資源エネルギー庁がマニュアルやガイドラインを作ってくれており、参考になるかと思います。 WBS の作り方としては、次のようになります。
- プロジェクトライフ に沿った フェーズ の構造を作る
- プロジェクト に必要な成果物で構造を作る
- 上記を マトリックス にして、具体的な アクティビティ になるまで分解し、その後に WP としてまとめる(もしくはその反対)
- 構造階層 及び WP を意識して WBS 番号を振る
- 各 WP の条件、成果物、必要な リソース を、 アクティビティ リストに記載する
最後の部分は、 PMBOK において、 WBS Dictionary と呼ばれており、 WP の内容を詳細に記載したものです。図2に、 再エネ 事業における WBS の例を記載します(ただし、 事業可能性調査 まで)。ただ、 WP のレベルまでブレークダウンしていません。青色部分は、日本で 再エネ 事業を実施する場合、再生可能エネルギー事業支援ガイドブックのチェックリストにあたる部分になります。海外においても、同じような手続きはあります。 再エネ 事業の事業規模の大きさを理解いただけるのではないかと思います。
ボトムアップ法
比較的小さなプロジェクトで、目標に対する アクティビティ がイメージしやすい場合や、過去の WBS 構築が参考にならない場合に適応します。つまり、 プロジェクト のチームメンバーが意見を出し合い、それらをカテゴリー分けしてまとめていくものです。図3に示すように、ポストイットなどを使い、 ブレーンストーミング にて意見を出し合い、 親和法(KJ法) にて、 WBS を作っていきます。
WBS Dictionary
WBS Dictionary は、 WP の内容を詳しく記載したものであり、実施している業務に不要な変更が生じて、 スコープ が拡大、思わぬ方向にいったりしないようにするものです。 PMBOK では、この WBS Dictionary を作り、それを アクティビティ リストに落とし込んでいくように述べています。
WBS Dictionary の例として、 PMP Exam Prep には下記のような例をしめしています。
ID |
Work Package No. |
更新日時 |
担当 |
成果品概要 |
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受け入れ基準 |
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条件と制約 |
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単位 |
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技術文書 |
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リスク |
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使えるリソース |
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期間 |
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中間管理項目 |
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費用 |
期限 |
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先行業務 |
従属業務 |
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承認:プロジェクトマネジャー 署名 日時 |
まとめ
スコープ 管理計画の最も重要項目は WBS の作成であり、これを各プロジェクトで作成、その結果を監視・評価・蓄積していくことで、次回のプロジェクトの成功率を上げていくことになります。また加えて、 スコープ の変更手続きは非常に重要で、再エネ 事業では、建設中の Variation Order が プロジェクト の工期にも費用にも大きな影響を与えます。