概要
PMBOKにおいて、 コミュニケーション 管理の目的として、関係者間(ステークホルダー)において、情報交換を円滑に進めることとしています。そのために、 コミュケーション 管理の計画を立て、実践し、その結果について想定通り進んでいるかを監視するというものです。
しかしこれは、PMBOKに限らず、仕事をするうえで、関係者との コミュニケーション で必要な事項であり、そのための手法やツールなどが様々な機関や企業から提案されています。
PMBOKにおいて、 コミュニケーション 管理のプロセスとして、計画、実施、監視を挙げています。
コミュケーション の分類
プロジェクトの コミュニケーション 管理では、「手法」と「対象」に分けてることができます。
まず手法についてですが、その手法の要素によって、下記のような要素が考えられます。
伝達手法:物理手法または電子手法
口頭:対面またはリモート
正式または略式:正式な書類またはソーシャルメディアなどの略式
身振り:口調や顔の表情
メディア:写真、行動、簡潔な言葉の選択
言葉の選択:一つのアイデアを表現する一つ以上の様々な語句
一方でコミュニケーションの対象ですが、
内部:プロジェクト内および組織内のステークホルダー
外部:顧客、ベンダー、その他の外部ステークホルダー
階層を考えると
上方:上級経営層のステークホルダーへ向けたもの
下方:プロジェクトの作業に貢献するチームなどへ向けたもの
水平:プロジェクト管理者やチームの同僚へ向けたもの
のようになります。
こうした軸を考えて上で、 コミュニケーション をうまく成り立たせるために、PMBOKでは以下の方法を実施するよう求めています。
- 戦略の策定
- 伝達事項の適切な構成
前者はステークホルダーにとって効果的な コミュニケーション となるように戦略を開発します。これは特にStakeholder Engagement Planとして作成、また更新していくことになります。ステークホルダーの影響力を考慮しつつ、その形式や手段を立案していくことになります。
後者はプロジェクトにおいて伝達すべき事項を事前に考え、それらを観測していくことで、意図通りの コミュニケーション が図れているか判断していくものです。
正しく意図を伝えるための対処
コミュニケーション 管理において、ステークホルダー間に発生する誤解を減らし、正しく意図を伝えることは重要です。 コミュニケーション における誤解とは、情報の発信者と受信者における解釈の齟齬なります(図1)。
PMBOKではこうした誤解を減らすための具体的な方策として、5Cという考え方や、管理者が習得すべき コミュニケーション スキルが示されています。
5C
PMBOKでは5Cという考え方が示されています。
- 正しい文法と正しい記述(Correct)
- 簡潔な表現と過剰な言葉の排除(Concise)
- 明確な目的と読み手のニーズに合った表現(Clear)
- アイデアの分かりやすく論理的な流れ(Coherent)
- 言葉とアイデアの流れのコントロール(Controlling)
以上の5つの「C」を心がけることで、情報伝達の際に発生する誤解をある程度、システマチックに減らすことができます。また上記に関連して注意したいのが、外国人と コミュニケーション を実施する際に、その文化による違いです。というのも、日本のようなソフト型文化によるハイコンテキストな コミュニケーション と、アメリカなど多くの国のハード型文化によるローコンテキストな コミュニケーション です。この違いを意識するだけでも、外国との コミュニケーション でいらぬ摩擦を生まなくなりますので、十分意識しておいてほしいです。表がその違いについてですが、5Cは「表現」に関するローコンテクスト コミュニケーション の観点ということになります。
一方、チームとして最大限まで力を発揮するためには、最終的にはローコンテクストな会話でプロジェクトが進められるようにならなければならないと「自分の立ち位置を定めなければ、優れた決断は下せない」で宇宙飛行士の土井氏は述べており、ローコンテクスト コミュニケーション の優れた点を指摘されています。
ハイコンテクスト | ローコンテクスト |
主張よりも妥協 | 主張は当然 |
同化が一般的 | 対立は主張の取り交わし |
疑問があるのは理解不足 | 疑問を持つのは良いことでむしろ表明すべき |
自他の線引きはすべきでない | 自他の線引きは当然 |
表現は感性 | 言語表現は正確に |
契約よりも信頼関係 | 契約による権利義務関係 |
コミュニケーション スキル
コミュニケーション 上の誤解を防ぐために、プロジェクトマネジャーには以下のスキルが必要となります。
積極的傾聴:相手の気持ちや考えを相手の立場に立って理解する態度
文化的および個人的な違いの認識:ステークホルダーの文化的および個人的な違いを認識する
ステークホルダーの期待の特定、設定、およびマネジメント:ステークホルダー・コミュニティ間の衝突を減らす
スキルの向上:チームメンバーの コミュニケーション スキルを向上させる
重要なポイントとして、チームメンバーの コミュニケーション スキルを上げることが入っていますが、これはプロジェクトマネジャーだけでは対応しきれず、チームとして対応するために、 コミュニケーション スキルの向上が入っています。ここであげられているポイントは、ファシリテーションで必要なポイントでもあります。ファシリテーション力はプロジェクトマネジャーは特に身に着けたいと考えます。
,まとめ
PMBOKに従い、 コミュニケーション マネジメントについて概説しています。PMBOKにおいて、 コミュニケーション 管理の目的として、関係者間(ステークホルダー)において、情報交換を円滑に進めることとしています。
また、計画、管理、監視といった3つのプロセスからなります。これらのプロセスを着実に実行することで、プロジェクトに関する コミュニケーション が円滑になると期待されます。
一方で、 コミュニケーション には誤解であり、誤解の発生を抑制するために様々な手法があります。プロジェクトマネジャーは5Cの理解や、 コミュニケーション スキルの向上を通して、誤解の抑制に努める必要がり、最近話題であるファシリテーション力は特に期待されるところです。