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再エネ開発の流れ

再エネ事業

はじめに

日本の再エネ事情

2050年のカーボンニュートラルを目指し、風力や太陽光を中心とした再生可能エネルギーの開発が今後期待されています。加えて、自動車のEV化なども推進すべく、政府は後押ししようとしています。日本は海洋国であるために、ポテンシャルが高いといったことも言われますが、事情はそう簡単なかことではありません。

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発電費用

こうした中、再エネをどのように開発していくかですが、発電にかかる費用をまずは見ていきたいと思います。発電費用は大きくわけて2つになります。

燃料

設備費用 CAPEX

運転費用
(Operating Expense; OPEX)
資本回収費用
(Capital Expense; CAPEX)
業務費や運営費など事業運営をしていくために、継続して必要となる費用 発電所を建設や維持に必要な設備投資費用

再生可能エネルギーによる電源は火力発電所や原子力発電所に比べて、OPEXが低く、CAPEXが高いという構造になっています。至近では、太陽光はパネル費用も安くなり、また建設期間が短いことから、CAPEXも低下してきました。一方、風力や水力は、建設費用も高いうえに、開発・建設期間が長いために、CAPEXが高いという構造です。図1の色ありチャートがメリットオーダーの概念図で出てくる図ですが、色抜きのチャート部分がCAPEXです。これを見てもわかりますように、これが入ると単価の比較図ががらっと変わり、この部分を再エネではFIT制度で補ってもらっています。

発電原価イメージ
図1 メリットオーダーのイメージ図

以上のように、再生可能エネルギーを開発するには、時間とお金がかかりますので、地点探しから実際に運用を始めるまでに、段階的に事業を展開していきます。途中で中断や中止になることも少なくなく、火力発電所に比べて手間暇がかかるといえます。この記事では、再生可能エネルギー開発の進め方に関して概説していきます。

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再生可能エネルギー事業の流れ

サイトの選定から運転まで

再生エネルギー事業を含む電源開発の流れ自体は火力発電所や原子力発電所と同様ですが、風力や水力などは、エネルギー源がサイト依存であり、場所によって、建設費、ポテンシャル、難易度がまったく異なります。こうしたテーラーメイドな点が火力電源に比べて、開発期間が長い理由にもなります。サイト探しから運用までの流れは図2の通りです。

再エネ事業の流れ
図2 再エネ事業のサイト探しから運用までの流れ

まずは、地点探しからで、この作業をスクリーニングと呼びます。主な業務内容は下の票の通りです。事業参入のタイミングによっては、この段階が終わっており、その調査結果を照査するDue Diligenceによって取って替わる場合もあります。

流量・風況・地形に関するデータベース活用 選定箇所の資料収集(地形・気象・インフラ・地権者・環境・権利状況) 現地調査

スクリーニングの段階では、例えば、日本の風力や太陽光の場合、新エネルギー産業技術総合開発機構(”NEDO”)がデータベースを作成しているので、ポテンシャル調査を行う場合は参考になります。また海外事業では、地図等が手に入らない場合、Google Earthなど、この段階で調査するには十分な精度のツールがあるので、それらを利用して検討することができます。

上記のようなツールで検討をした場合、ポテンシャルが高い地点は既に、権利をおさえられている可能性が高いですので、この段階において、権利がすでに抑えられているかどうかを確認することは重要です。

FSには多額の資金が必要となりますので、FSに進むためには、慎重な対応が求められ、もう少し詳細な事前調査を実施することもあります。その際には資料収集だけではなく、現地踏査を含めた調査を実施することになります。スクリーニングの段階よりもより詳細な地形、地質、気象の調査が必要となり、また送電線の整備状況、需要想定、電力売買契約の条件等の商務条件を踏まえ、FSを行うかどうか判断します。多くの事業者は、この段階で相対比較ができるように、プロジェクトの採算性について、データベース化していることが多く、それによりFS実施地点を選定しています。

  • 大型の風力や水力案件では、FSに数億もかかることがあるので、スクリーニング及び事前調査で慎重な判断を!
  • 相対的な地点の優位性が判断できるデータベースが重要。

事業可能性調査(”FS”)

FSでは、現地調査を含め、大型の水力や風力では、数億円の支出を伴うことも多いです。当該候補地点が技術面、経済面、財務面および社会環境面から判断して事業が可能であるか否かを判断することになります。最近では、自然環境面が非常に重要になってきており、環境影響調査が長期化傾向にあります。概ね検討項目としては以下が挙げられる。事業性の可否とともに、電源の規模を決定することが、FSで重要な項目となります。規模は、FS以降の各種協議事項の最も基本的な与条件となります。

気象・風況(水文)・地形・地質の調査(現地での詳細な調査を伴う)
需要想定、商務条件の検討
発電計画の策定
土木構造物、電気設備、送電設備の設計
施工計画・工事費算定
自然環境、社会環境影響評価
経済評価及び財務評価

主要契約協議

FSで事業の実行可能との判断がされれば、当該国の政府との事業権契約(Concession Agreement)、Off-Takerとの電力売買契約(Power Purchase Agreement)、詳細な自然環境、社会環境影響評価(Emvisonmental and Social Impact Assessment)、特別目的会社(Special Purpose Company)の設立、技術的には、詳細設計と建設契約の締結等を実施していきます。

大手電力会社などが建設する場合は、コーポレートファイナンス(会社の信用に基づいた融資)によって資金調達しますが、そうした信用が十分でない会社(ベンチャーなど)の場合は、プロジェクトファイナンスによって資金調達を行うことが多いです。その場合、銀行団(レンダー)と諸条件を合意して融資契約締結し、ファイナンシャル・クローズ(FC)を達成すれば、工事を開始することになります。

ベンチャー企業など、多額のプロジェクト資金を自社で調達するのが難しい場合、プロジェクトファイナンスが利用されている

銀行団から諸条件で合意を得るためには、銀行団の技術アドバイザー(Lender Technical Advisor; LTA)や法務アドバイザー(Lender Legal Advisor; LLA)などのレンダーのアドバイザー達との協議を通して、当該プロジェクトの融資可能性について合意を図っていきます。また、大型プロジェクト、例えば、ダムを伴う大型の水力発電所プロジェクトの場合、世界一流の専門家で構成される専門家委員会を設立し、その委員会による照査及び承認を融資条件の一つに求められることもあります。

このように、プロジェクトファイナンスによる資金調達は、費用も時間もかかる上、リスクをどのように配分するか、関係者間でどのように合意を得ていくか、開発会社のノウハウが必要になる部分になります。プロジェクトファイナンスをベースとした開発の一般的なスキーム図を下記に示しておきます。

図3 プロジェクトファイナンスによる再エネ開発の概略図

建設

主要契約協議の重要な項目の一つとして、建設契約があります。この契約形態により、特別目的会社やベンチャー企業の建設監理方法が異なってきます。よって、当該プロジェクトをどのような体制で建設を管理するのかとこの契約形態とは密接な関係があります。下記の図は、請負者(コントラクター)が設計~施工(建設)にどの程度関わるかによって、請負者と開発者のリスクがどう配分されるかの概念図です。

図4 契約形態とリスク配分

海外において、火力発電所を建設する場合、調査・設計・調達・建設を一括で請け負うEPCフルターンキー契約のもと、大手メーカーなどが請け負うことが多いです。一方、風力や水力などの再生可能エネルギーによる発電所を建設する場合は、こうした契約のもとで、建設することは多くはありません。一部、ヨーロッパの大手や中国企業などは、こうした契約形態で建設を請け負うこともありますが、一般には少ないです。

その理由ですが、先にも上げましたように、調査に時間も費用がかかるとともに、土木工事のポーションが多く、自然条件により、その建設期間や費用が大きく変わるので、開発当初からプロジェクトに関わっていない限り、請負側のリスクが大きすぎて、請け負うことが難しいためです。仮に、請け負う場合でも、遅延やコスト増のリスクを織り込む必要があるため、リスクプレミアとして、請負費が高くなる傾向があります。開発者側の立場では、建設の責任を一切、請負者に任せられるため、建設費用が固定でき、事業性の確度が上がるため、好ましい契約形態といえます。

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上記の理由から、再エネでの建設契約は、レイアウトや土木設備の計画設計は開発者(開発者にやとわれたコンサルタント)が行い、施工や組立類をゼネコン、機器の設備設計・調達・製造・運搬・組立をメーカーが行うようにそれぞれ契約を行うことが多いです。

建設契約の形態と、開発者の管理体制(設計施工を含む)は一体で考える必要があり。

運転

発電所の運用の方法には、①自社が行う、②社外に委託するの大きく分けて2つがあります。

当然、そのハイブリットもあるわけですが、①の場合は、複数発電所を持っていないと効率が悪いため、②で実施することが多くなります。最近は、遠隔操作・管理が容易になってきたため、メーカー各社が②を実施することも多くなってきました。日本の大手電力会社の場合は、①の形態が主体となります。

プロジェクトファイナンスの場合であれば、運用期間は返済期間でもあるので、返済期間が終わるまで、レンダーやアドバイザーから厳しく管理されます。水力であれば、洪水や地震、風力であれば、台風など、苛烈な自然災害が設備損害につながることも多いですので、その際にどういった対応を行うのか、Emergency Action Planを策定し、災害による収入への影響を最小限にとどめること、また関係者と連絡を取り合うことが求められます。

最後

上記はあくまで概要であり、これらの活動を如何に効率よく、かつ効果的に管理していくかが、成功の秘訣となります。その手段の一つとして、プロジェクトマネジメントのスキルや知識が役立ちます。

Project Management Instituteが提唱しているProject ManagementのガイドとしてPMBOKと呼ばれる図書があります。この図書自体は非常に概念的ですが、標準化されている点では参考になります。このPMBOKを如何に実務に落としていくか、これがポイントとなります。

本ブログでも、再生可能エネルギーの開発にどのように活用できるかを投稿していきたいと思っています。

ABOUT ME
Paddyfield
土木技術者として、20年以上国内外において、再エネ 事業に携わる。プロジェクトファイナンス 全般に関与、事業可能性調査 などで プロジェクトマネージャー として従事。 疑問や質問があれば、問い合わせフォームで連絡ください。共通の答えが必要な場合は、ブログ記事で取り上げたいと思います。 ブログを構築中につき、適宜、文章の見直し、リンクの更新等を行い、最終的には、皆さんの業務に役立つデータベースを構築していきます。 技術士(建設:土質基礎・河川、総合監理)、土木一級施工管理技士、PMP、簿記、英検1級など