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カルフォルニア 公共施設委員会 新規調達電源11.5GWの電源構成をあいまいなままに

カルフォルニア における電源調達に関する記事

2021年6月24日に、カルフォルニア の電力系統の安定化対策について発表されました。その後に、25日にも引き続き、本件について発表されています。新たに調達するとされた11.5GWは、再エネとゼロエミッション電源で構成するものとしていますが、今後数カ月にわたり、分析を行った上で、安定電源としてガス火力発電所の必要性を検討するとしており、調達電源の構成をあいまいにするものでした。以下に、 カルフォルニア の新たな電源調達に関する記事を記載します。

記事:Utility DIVE, 2021/6/24, “CPUC ditches natural gas in 11.5 GW proposal but leaves door open for future fossil fuel procurement”

記事によると、カリフォルニア の規制当局は火曜日、Diablo Canyon 原子力発電所といくつかのガス火力発電所が廃止された後、州の電力系統を支えるために11.5GWの電力資源を調達するという新たな提案を発表した
カリフォルニア 公益事業委員会 ( CPUC )は以前、調達パッケージに関して2つの提案がなされたことを発表し、これには500 MWから1,500 MWのガス資源が含まれていた。しかし、規制当局は今週、1つの提案を廃止し、もう1つを100%温室効果ガスフリーにするように変更した。CPUCは2021年6月25日に新たな提案に対して投票を行う。

Protect Our Communities財団のエネルギーアナリスト、Tyson Siegele氏によると、「11.5GWのクリーンエネルギー調達パッケージは、 カリフォルニア のより広範なエネルギー転換の舞台となるだろう。最初としては悪くはないが、必要量には程遠い。私たちは将来、こうしたタイプの調達をより多く行う必要がある。」と述べた。

提案された調達は、2025年までに廃止予定の カリフォルニア の2.2 GW Diablo Canyon原子力発電所と、近い将来に廃止する予定の複数のガス火力発電所を置き換えることを目的としている。一つは、パッケージの一部として1,000 MWから1,500 MWの間の天然ガス資源を用いた発電所を含めた提案であり、もう1つは州が所有する公益事業によって調達する500 MWのガス資源を用いた発電所を含めた提案であった。

California to let gas plants stay open as time runs low for climate action (yahoo.com)

しかし、提案に天然ガスを含めることは、環境団体などからの懸念を示された。先週の全党会合で、CPUCのMartha Guzman Aceves委員は利害関係者に対し、化石燃料調達に地理的制限を設けるべきか、化石燃料を含めるかどうかを先延ばしにするかについて問うこととした。

新たな提案についても、2023年から2026年にかけて11.5GWの追加容量を調達することを求めるものである。しかしその提案は、化石燃料資源からの追加容量は認めないものであると考えられる。

「幅広い視点を示している決定案に関する多数の関係者コメントに対して、追加で化石燃料容量調達を決める前に、信頼性への影響を追加分析したいと考えている。」と提案書には記載されている。

CPUCは、今後数ヶ月で カリフォルニア エネルギー委員会と協力して、今年後半に発表予定の将来の電源調達案に向けて分析を行う予定であり、その時点で追加の容量調達要件を検討するかもしれないと、規制当局は提案で述べた。

新たな提案はまた、調達のタイミングを調整しており、2023年までに3,000 MW 、2024 年までに 4,500 MWから、 2023 年までに2,000MW、2024までに6,000 MW、2025年までに追加で1,500MW、2026年までに2,000MWを追加するとする調達計画を示している。これらの調整は、2023年に信頼性を高める必要性があるかどうかを疑問視する利害関係者からのコメントに応じて調整された。

Protect Our Communities財団は、 カリフォルニア は化石燃料の増分調達をしないという新たな提案を歓迎してる。「そうは言っても、化石燃料での電源調達の可能性は残っていますが、何が必要か、モデリングがどういったことを示すのか、それに基づいて委員会は決定を下すとしている。」と、Siegele氏は述べた。

しかし、Stoel RivesのパートナーであるSeth Hilton氏によると、新たな提案には他にも示唆しているという。例えば、太陽光発電が電力系統から離脱し、正味のピーク時に カリフォルニア の電力系統が要求事項を満たすことができるのかということである。つまり、化石燃料資源は正味のピーク時のギャップを埋めるための1つの選択肢であり、規制当局は、将来の可能性のある貯蔵技術も含めて、こうした容量が必要となる。

また規制当局は、今年後半に化石燃料調達の問題を再検討する予定であるが、「 カルフォルニア 規制当局が抱える課題の一つは、先送りにすればするほど、化石燃料資源を整備するのに時間がかかることだ。」とHilton氏は述べた。既存のガス施設を拡張するだけでも、広範な許可プロセスが必要であり、必要に応じて電源を系統に載せることができないリスクがあるとHilton氏は述べた。

カリフォルニア の電力資源のポートフォリオを見ると、天然ガスは日中に電力を供給するために使用頻度は少ないものの、正味のピークもしくは非常に暑い時期に需要を満たすために不可欠であると、独立エネルギー生産者協会のJan Smutny-Jones最高経営責任者(CEO)は述べた。

「 カリフォルニア は、必要な資源を永久に焦って閉鎖していないよう注意が必要である。」とSmutny-Jones氏は述べた。 更に「 カリフォルニア は、信頼性を確保するのに必要な電源を維持しようとする必要があり、同時に太陽光と貯蔵などの新しい電源を電力系統に加える必要がある」と付け加えた。

記事:Utility DIVE, 2021/6/25, “California approves 11.5 GW of new clean resources in largest-ever single procurement order”

カリフォルニア 公益事業委員会( CPUC )は木曜日、2020年代半ばに系統に繋がるクリーン電源で構成される11.5 GW調達パッケージを承認することを決議し、一度で調達する最大容量を記録した。

新しい電源は、より極端な天候に備えて州を準備し、2025年までに閉鎖される2.2 GW Diablo Canyon原子力発電所と、まもなく廃止される予定の天然ガスプラントの3.7 GWを置き換えることを目的としている。

「これは画期的な決定であり、決して大げさなことではない。」と、CPUCコミッショナーClifford Rechtschaffen氏は木曜日の会議で述べた。「これは州内の約250万世帯に電力を供給できる容量であり、このすべては再エネまたはゼロエミット電源から構成されるだろう。」と付け加えた。

CPUC は当初、500 MWから1,500MWの天然ガス資源を含む11.5 GWパッケージを進めるために2つの提案され、それに基づいて調達する予定であった。しかし、州の解析によれば、多くの化石燃料の必要性を示していないとする環境団体や、ガスの調達に単独で責任を負いたくない公益事業者を含む様々な関係者から批判を受けていた。

CPUC は、これらのコメントに応じて最初の提案を修正し、代替案を廃止し、規制当局は今後数ヶ月間、化石燃料の必要性について追加の分析を行うとしている。

Batjer氏は「カリフォルニア は信頼性を確保するためには、化石燃料資源を待機させる必要がある可能性がある。しかし電力系統上に、十分な再エネとゼロエミッション発電があれば、化石燃料資源を稼働させる必要はなく、単なる保険として待機させておけばよい。」と述べた。

この決定は、州予算におけるクリーンエネルギーのための新しい資源と組み合わせることで、カルフォルニア がクリーンパワーに向けて進みだしており、ゼロエミッション資源の調達を拡大、より積極的な温室効果ガス排出目標に向け、クリーンで信頼性の高いユーティリティスケールの電力を提供できる有望な新技術への投資することを示しめしていると、声明文の中で述べている。

カリフォルニア環境正義同盟とシエラクラブの共同キャンペーンである再生カリフォルニアは、この決定を「カリフォルニア州のクリーンエネルギーへの転換の大きな一歩」と呼んだ。

考察

2021年6月24日の記事に、「今年後半に発表予定の将来の電源調達案に向けて分析を行う予定であり」とありますが、正に決定を先送りするものであり、必要となった時に簡単には調達できない(建設できない)ことを無視しているように思います。かなり政治的な配慮がなされたものと考えられます。

また、「今年後半に発表予定の将来の電源調達案に向けて分析を行う予定であり」としていますが、完全な先送りであって、決定を後になればなるほど、電源の調達が難しくなるのは明らかです。

2021年においても、 カルフォルニア の輪番停電の可能性は強く指摘されており、安定電源の確保は系統を安定させるには重要な事項となっています。

カルフォルニア や テキサス などの州において 2021年夏の 熱波 による停電の可能性もありカルフォルニア 州において、昨年の8月の 輪番停電 に続き、2021年夏においても、 熱波 による 停電 の可能性があるというもの。Calfornia ISOから今期の需要予測と供給力に関する報告書が2021年5月12日に発表されており、それも考察と合わせて記載しています。...

提案書の中の5.2.2に化石燃料による電源について書かれていますが、全体が先送り、もしくは廃止予定であった発電所便りというなんともお粗末な提案と言えます。
Consistent with the recommendation in the ALJ ruling, we are not recommending any extensions to the compliance deadlines for the OTC regulations of the Water Board in this order. There, with the exception of the discussion that is already ongoing at the Water Board with respect to a possible two-year extension for Redondo Beach Units 5, 6, and 8 to December 31, 2023.
This potential extension, if granted, would help with any uncertainty about the availability of new resources to come online by 2023 as a result of this order, and would help ensure reliability in the interim. Other than with respect to Redondo B each, there is very little advocacy for this solution, and due to the age and emissions from these OTC plants, we would prefer to see cleaner resources developed rather than continue to rely on the retiring OTC generators additional extensions to OTC deadlines.

本質的な議論ではなく、こうした政治的な理由で州民の生活に関わる重要な案件を先延ばしにするのは、非常に問題があるように思います。

ABOUT ME
Paddyfield
土木技術者として、20年以上国内外において、再エネ 事業に携わる。プロジェクトファイナンス 全般に関与、事業可能性調査 などで プロジェクトマネージャー として従事。 疑問や質問があれば、問い合わせフォームで連絡ください。共通の答えが必要な場合は、ブログ記事で取り上げたいと思います。 ブログを構築中につき、適宜、文章の見直し、リンクの更新等を行い、最終的には、皆さんの業務に役立つデータベースを構築していきます。 技術士(建設:土質基礎・河川、総合監理)、土木一級施工管理技士、PMP、簿記、英検1級など