記事:AFP, 2021/4/7, ‘Green Hydrogen’ Forecast To Cost Less Than Natural Gas By 2050
BloombergNEFは4月7日(水)の発表した調査報告によると、再エネを使って作る”グリーン水素”は遅かれ早かれ価格が下落し、多くの地域の天然ガスよりも安くなると予測している。
水素ガスは、持続可能なエネルギー源を開発し、炭素ガス排出を抑えるために、主役になるものと考えられる。
しかしながら、算出するのは高額であり、製造に必要な電力はCO2や汚染を引き起こす。
グリーン水素は、再生可能電力、つまり風力、太陽光及び水力などによる電力を用いて水の電気分解で生産される。
BloombergNEFは、2050年の太陽光発電電力の価格は2019年の時点で見込んでいたよりもさらに40%低くなると判断し、こうした見通しに基づいて、2050年までにグリーン水素の生産コストは最大で85%低下して、28ヵ国の大多数において1キログラム当たり1ドル未満となると予測している。
化石燃料ベースだが、CO2回収・貯留システムを組み合わせて生産される”ブルー水素”との比較では、2030年には28ヵ国の全てにおいて、グリーン水素のほうが低コストになるという。CO2回収・貯留システムを用いない化石燃料ベースの水素(”グレー水素”)は、コストは安いがCO2排出量削減には貢献しない。グリーン水素は2050年にはグレー水素と比較しても遜色のないコスト競争力を得る可能性があるという。また、やはり2050年には、15ヵ国で、グリーン水素は天然ガスよりも低コストになる見通し。
BloombergNEFはこのように、将来的に追加コストなしにグリーン水素を使用できるようになると予測しているが、それまでは政府による継続的な支援措置が必要だと指摘している。
考察
2月末に日本も参加する水素協議会により、水素エネルギーの大量導入に関する声明が出されています。おそらくその流れも踏まえてのBloombergNEFの発表だと思います。記事の中でも政策によるサポートを訴えています。
加えて、中東をはじめ、多くの日照率の高い国々では太陽光発電プロジェクトが予定されており、余剰部分の活用が問題となります。バッテリー、揚水発電、そしてこの水素ガス製造などで貯めるのが余剰部分の利用方法が当然考えられます。揚水発電については、オーストラリアで進められていますし、中東やヨーロッパでも計画されています。
経産省の「水素・燃料電池戦略ロードマップの達成に向けた対応状況」によりますと、日本では、2030年頃に30円/Nm3程度、将来的には20円/Nm3程度を目標としています。LNG価格が10ドル/MMbtuと同等というのは、水素価格では13.3円/Nm3となります。これは発電にしますと、それぞれ17円/kwh、12円/kwh、8.7円/kwhとなります。この記事では、水素が100ドル/kg、つまり9円/Nm3にあたり、発電コストは7円/kwhとなり、十分な競争力となりえます。しかし、量がどの程度できるかは記載されておらず、あくまで余剰の範囲であれ、大量にいは期待できません。経済産業省は、水素の活用に向けて、「今後の水素政策の検討の進め方について」を2020年11月に発表しており、今後、本件についてもより具体的な政策やサポートが示されていくことになろうかと思います。