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英国の原子力産業が水素ロードマップを提示

記事:2021年2月17日 World Nuclear News, UK nuclear industry launches ‘hydrogen roadmap’

英国の原子力産業会議(NIC)は、水素ロードマップを提示し、英国が2050年に二酸化炭素排出量実質ゼロを達成するために必要な水素の3分の1を原子力が生産できるとの見通しを示した(記事:原文)。NICは、経済産業持続可能成長担当相と原子力産業協会(NIA)の会長が共同議長をつとめる機関で、英国における原子力の推進に向けた政府と産業界の協力における戦略的優先事項を策定している。

気候変動対策について政府に提言する気候変動委員会は、英国が2050年にクリーン電力の生産を、現在の4倍に増やすとともに(175TWhから690TWh[Hydrogen Road Map])、225TWhの低炭素水素を生産することで、脱炭素化を達成する必要があると判断している。水素ロードマップは、グリーン水素(原子力や再生エネルギーで作った水素)の生産において、再生可能エネルギーと並んで原子力が主要なプレイヤーとしての役割を担えることを示している。

水素ロードマップは、原子力による電力と核熱を利用した水素生産の方法として、冷水電解(Cold water electrolysis)、蒸気電解(Steam electrolysis)、熱化学水分解(Thermochemical water splitting)をあげ、2050年までにこうした方法により75 TWhの低炭素水素を生産できる体制を整備することを目標に掲げている。なお、従来型の水蒸気メタン改質による水素生産に対しても原子力発電の廃熱を供給することができるが、この方法は水素1キログラム当たり10キログラムのCO2を排出するため、CCSと組み合わせる必要がある。

NIAは水素生産における原子力部門の役割を英国政府が認めたことを歓迎し、グリーン水素の最大の問題点はコスト高であることを指摘しつつ、原子力による水素生産を促進するための今後の対策として、下記を挙げた。

  • 電気分解装置の研究開発への資金支援
  • 野心的なカーボンプライシング
  • Advanced Modular Reactorに関する5年間の研究開発計画
  • 低炭素水素生産支援基金と再生可能燃料導入義務への原子力による水素生産の組み入れ
  • 新たな原子力発電プロジェクトの資本コスト削減のための新たなファイナンシングモデルに関する合意締結

考察

イギリスは、風力の有効なサイトも多く、再エネにも積極的であるが、それでもカーボンニュートラルを実現するには、原子力に頼らざる負えない状況です。これは、各国、カーボンニュートラルを実現するには、現実的な手法なのかもしれません。

世界の発電量割合2017年
図 各国の電源割合

(出所)IEA “Key World Energy Statistics 2019″をもとにニューラル作成

日本では、水素エネルギーに対する期待が大きいですが、水素は作る必要があり、電気分解、プロセスから出てくる、褐炭から作るなどがあります。しかし、カーボンニュートラルを実現するには、上記にも出ているグリーン水素である必要があります。

つまり、再エネや原子力から作るしかありません。日本の場合、期待されている風力ですら45GW、全体の10%程度であり、EV化した場合の電力増加量すらも補えません。

カーボンニュートラルについて日本が掲げるカーボンニュートラルについて、数値的な観点からその達成に向けた取り組みについて考察。...

しかし日本においては、原子力発電に対する理解が得にくく、一方でカーボンニュートラルをどうするか、全員が納得する政策は難しいと思われますが、日本にあった現実的な電源構成を目指すことを望みます。

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Paddyfield
土木技術者として、20年以上国内外において、再エネ 事業に携わる。プロジェクトファイナンス 全般に関与、事業可能性調査 などで プロジェクトマネージャー として従事。 疑問や質問があれば、問い合わせフォームで連絡ください。共通の答えが必要な場合は、ブログ記事で取り上げたいと思います。 ブログを構築中につき、適宜、文章の見直し、リンクの更新等を行い、最終的には、皆さんの業務に役立つデータベースを構築していきます。 技術士(建設:土質基礎・河川、総合監理)、土木一級施工管理技士、PMP、簿記、英検1級など