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アメリカ テキサス州 で起きた2021年2月の 停電 に関する追加の中間報告書 テキサス州電力評議会 ( ERCOT ) が発表

ERCOT が発表した報告書の概要

4月13日にテキサスにおいて、春にも関わらず、寒冷前線が到来し、急激に気温が下がりました。ちょうど、夏場に向けて発電所の整備を行っていたため、節電要請が行われ、緊急事態宣言の発動の可能性がありました。しかしながら、寒冷前線がテキサス州までこなかったので、結果として回避されています。

テキサス州電力評議会 ( ERCOT )電力逼迫を受けた緊急事態宣言予告を取り下げ2021年4月13日に、寒冷前線がテキサス州を覆う可能性があり、電力需給が逼迫し、停電の可能性が生じたために、テキサス州電力評議会 ( ERCOT )が緊急事態宣言を予告していたものの、結果として解除されたという記事。...

そうした中、4月29日に、テキサス州電力評議会 ( ERCOT )が、冬季の停電の原因調査の中間報告書を発表しました。2021年2月24日、冬季の 停電 を受けて、 ERCOT が、マーケット参加者 (Qualified Scheduling Entities, QSEs)に対して、発電ソースと電源貯留ソースが記載されて情報を提出するように要求しています。その要求する情報については、2月14日から19日の間に生じた 停電 や 出力低下 の原因にいても合わせて求めていました。それらを踏まえて作成されたものです。

ERCOTは、情報提供の要求に対する答えを基に、停電 や 出力低下 に関して、7つにカテゴリーして原因を割り当てて情報をまとめています。2021年4月6日に発表したPreliminary Reportを踏まえ、 ERCOT は関係者に対して、そのレポートに関する質問を募集しています。受けた質問やコメントに基づいて、今回のレポートは更新されているとのことです。

2021年2月14日から19日に起こった冬の寒波時における 停電

今冬の嵐が2月14日に到来し、15日の朝遅くから17日の昼頃までとどまったのに応じて、停止した発電量が急激に増加しています。

図1 原因別の停電及び出力低下状況

しかしながら、図2を見ると、15日の週を通して、正味の停電だけみていると、供給力の変動が見えなくなっていますが、実際は、停止したり、発電を開始したりを繰り返しているのがわかります。この変動を見ると、いつ危機が終わるのかを正確に予測するのが難しいは明らかです。ただこのグラフは、継続時間は表しておらず、その時間に発電を開始した設備容量をPositive、その時間に発電を停止した設備容量をNegativeとして示してあります。

図2 利用可能な発電容量の変動

停電 期間において 停電 又は出力低下した容量

停電期間において、停電又は出力が低下した容量は、2月16日8:00AMにおける52,037MWです。図3にその停電原因に関するグラフを示しています。

図3 最大出力低下時における原因

考察

4月6日の ERCOT の中間報告において、今回の 停電 の原因は冬季対策がなされていなかったとERCOTは主張していたました。今回の報告書のアップデートでは、情報を収集のうえで、停電容量とその関係をグラフ化しているのが特徴となります。

図1は、 停電 の原因をカテゴリーに分けて、グラフ化したもですが、同様に、電源種別による出力低下量についてもグラフ化されています(図4)。

図4 電源別の出力低下容量

更に、これらの電源毎にその 停電 理由をグラフ化にしてありますのが、図5~図7となります。これによれば、大きな原因は、冬季の寒さによる影響であること、風力とガス火力が大きく停電に寄与していたことがわかります。今後、テキサスでは、ますます再エネが導入される見込みであることを考えると、今年の夏、また今年の冬場でどういった対策が取られるのか、気になるところです。

図5 ガス火力の低下容量
図6 風力発電の低下容量
Net Generator Outages and Derates for Coal Generation
図7 石炭火力発電の設備低下容量
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Paddyfield
土木技術者として、20年以上国内外において、再エネ 事業に携わる。プロジェクトファイナンス 全般に関与、事業可能性調査 などで プロジェクトマネージャー として従事。 疑問や質問があれば、問い合わせフォームで連絡ください。共通の答えが必要な場合は、ブログ記事で取り上げたいと思います。 ブログを構築中につき、適宜、文章の見直し、リンクの更新等を行い、最終的には、皆さんの業務に役立つデータベースを構築していきます。 技術士(建設:土質基礎・河川、総合監理)、土木一級施工管理技士、PMP、簿記、英検1級など