記事:CBC Austin 2021/3/17 “Texas House Speaker kills Senate electric grid price correction bill after hearing”
記事によりますと、 テキサス 下院調査委員会が、 電力市場 の価格修正を指示する法令に関する公聴会が行われたわずか1時間後に、 テキサス 州下院議長である Phelan, R-Beaumont氏が声明を発表し、下院では法令を審議しないとのべ、審議を行う前に、法令を事実上廃案とした。
声明において、Phelan氏は、州法令SB2142は、通常ではありえない政府の 自由市場 への介入であり、住民や商業の顧客が前に進むことに対して、大きな影響をもたらすと述べた。Phelan氏は、火曜日の委員会で聞いた証言がその決定の理由であると述べた。
テキサス 州上院が、通常のルールをまげて、急遽州法案を提出、州法案を短時間で通して、木曜日の閉会を取り下げることで、理論的には金曜日のデッドラインまでには、州法案を通して、 電力価格 の修正を目指すというものであったが、上院で州法が通過24時間を経たずにでその公聴会が行われた。
結果として、上院で州法案が通過したが、24時間を経たずに事実上廃案に追い込まれた。火曜日の公聴会では ERCOT のMagness氏が意見を述べ、その間の電力価格に関する正当性を訴えた。
公聴会において、下院の委員会メンバーは、法案の通過がどのような結果を テキサス の電力市場関係者にもたらすのかを理解することが主眼におかれた。 テキサス 州の 公益事業委員会 ( PUC )は今月のはじめより、電力価格に何等か対応をとることに反対であった。委員会メンバーは何故そのように考えたのかを理解したいとしていた。委員メンバーのPaddie氏は、今回の公聴会において、価格変更に関わる多くの予見できない事象が起こりうることや現実の状況について光を当ったとした。
PUC のArthur D’Andrea委員長は、価格変更反対の姿勢を貫いており、火曜日の公聴会でも同様の見解を述べている。
考察:
アメリカ テキサス で起こった冬の停電に関して、原因について、様々な見解が述べられていることをまとめて記事にしていました。その後、その間の支払いが 160億ドル 、 約1兆6千億円 にも及び、日本と同様に問題化してしまいました。
そもそも、 テキサス では需給ひっ迫時には強制スパイクさせて需給を調整する仕組みになっています。
2月15日から19日に起こった冬の電力高騰が生じた件に関して、州政府が契約している 市場監視組織 である Potomac Economics が調査を行いました。
それによりますと、3月8日において、最後の32時間(12 a.m. Feb. 18 to 9 a.m. Feb. 19.)に関しては余分であり、 160億 ドルの費用のうち、 51億 ドルのコスト低減を行うべきで、連鎖的な倒産を避けることができると述べていました。
Texas Watchdog Says Grid Operator Made $16 Billion Error
一方で、 テキサス の 公益事業委員会 ( PUC )のArthur D’Andrea委員長は、「スパイクキャップの9,000[USD/kWh]の価格に誤りはなく、修正することはできない。」と述べており、自分はプライスキャップの価格設定に責任はなく、 ERCOT が決めたものであり、価格を変える権限は持っていないと述べていました。
テキサス の上院は、要請レターなどにより、そうした行為をArthur D’Andrea委員長に求めていたましたが、Arthur D’Andrea委員長は自分の立ち位置を変えず、議員の一部からは辞任を求めていました。
Texas Leaders Press Utility Regulator to Correct Power Prices
そこで上院の議員団は、 PUC に対して価格を 遡及的 に修正するように求める州法2141の成立を目指すべく、手続きを開始したものです。
3月15日、 テキサス の上院は同法案を承認しています。上下両院は共和党が支配しており、アボット州知事も共和党であるため、同法案が通過・承認されるものと報道されていました。
特に、上院議長でもあるLieutenant副知事は、 PUC に強く価格遡及をもとめていました。
一方、下院議長は、「今回の手続きでは相反する証言があり、この問題の追加の照査が必要である」と述べていました。
Texas state Senate passes bill to cut $5.1 billion in winter storm power fees
翌日の3月16日に上院において、 PUC を含めた公聴会が開かれております。それが今回のメイン記事になります。
今回の 電力高騰 においては、投資銀行及びその顧客がおおきく利益を得ており、純粋な電力会社が大きな損失を抱えました。この点を考えた場合、テキサス州知事や副知事の意図する点も理解はできますが、それならば制度そのものを事前に変えておくべきであり、遡及的に実施してしまえば、自由市場の否定になりかねないように思います。今後、日本や テキサス 、その他の市場においても、これらを事例で制度変更が行われていくものと考えます。
Goldman poised to make $100 million profit off Texas deep freeze – Bloomberg News