アジャイル の概要
プロジェクトマネジメントの手法としてソフトウェア開発などIT業界では、旧来のウォーターフォール型の開発は少なくなり、 アジャイル 開発が主流となってきています。 Project Management Institute ( PMI ) が出版しているプロジェクトマネジメントガイドである PMBOK Version7では、前回のVersion6に比べて、大きくその内容が変更され、 アジャイル を含むあらゆる開発手法を想定したものとなりました。
A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK Guide) Version 7
Project management Institute
ウォーターフォール型(図1)の開発というのは、工程を企画、設計、実装、テストに分割して開発を進めていくのですが、アウトプットまでに時間がかかり、初期の段階で間違える(もしくは スコープ の変更がある-スコープ 管理に関してはこちら。)とその影響が大きく、開発が遅れがちになるというものです。それに対して アジャイル 型(図2)は、アウトプット をできる限り分割して、どんどん機能を実装していくというものです。
再エネ事業開発では、基本はウォーターフォール型の開発が多いのですが、最近は状況の変化が激しく、対応しきれず、工程に大きな遅れが生じることが多くなっています。この アジャイル 型の開発手法を取り入れることで、状況の変化にうまく対応できる可能性はありますが、日本においては経験者も少なく、ましてやメガプロジェクトの多い、再エネプロジェクトでは現状では難しいかもしれません。ただ、 アジャイル の手法のうち、スクラムは、再エネ事業開発に非常に相性がよく、その基本概念ややり方の一部などは、私自身は積極的に取り入れるようにしています。
スクラム
PMの アジャイル 型開発において、スクラムという手法があり、特にIT業界においても、取り組み事例が多いようですが、この手法は、IT業界によらず、すべての業界に役立つものと思います。
このスクラムという手法は実は、野中郁次郎氏が1980年代に書いた論文をもとにしており、スクラムの開発者ジェフ サザーランド は、「自分はスクラムの父であり、野中氏は祖父である。」といっています。第二次世界大戦後にエドワード・デミングが日本にてPDCAサイクルを伝え、トヨタにおいて「リーン」(ムダの徹底的な排除など、トヨタ生産方式に代表される生産手法)が生まれました。そのトヨタ生産方式を研究し、体系化したリーン生産方式の影響を受けてスクラムが生まれ、今、日本に改めて輸入されているわけです。このように、今注目を浴びているのは、いづれも日本の製造現場で行われてきた慣習を体系化(標準化したもの)にすぎません。
名前の通り、ラグビーのスクラムからきており、業務を短くきって、状況に応じてボトルネックを全力で取り組むというものです。
従来のウォーターフォール型の管理だけであると、クリティカルパスが変わると工期に間に合わない、逆にクリティカルパスにないものは取り組まず、先延ばしにする(中学生の宿題状態)になることがしばしばです。
そういった意味で、このスクラムという概念を知っておくのは非常にプロジェクトを進めるうえで役立つと思います。
スクラムに関する本として、こちらが参考になります。
スクラム 仕事が4倍速くなる“世界標準”のチーム戦術 (早川書房)
ジェフ サザーランド (著), 石垣 賀子 (翻訳)