Contract Agreement

建設契約 におけるOfferとAcceptance

OfferとAcceptanceとは

海外における再エネ電源開発に従事している中で、国際 建設契約 管理に携わることが多くありました。最近では、国内の電源開発の請負者が国内事業者だけではなく、海外事業者ということも多くなってきました。特に風力発電では、国内有力メーカーがなく、海外、ヨーロッパ企業が多いため、英語での 建設契約 、また技術者と付き合う必要があります。
最近では、全ての建設でのリスクを請負者に負わせるフルターンキー契約ではなく、コストを抑えるために分割契約、EPCI契約(Engineering, Procurement, Construction and Installation)というのを国内ゼネコンと結び、海外のメーカーとSupply契約を結ぶという  建設契約 が増えているようです。
そのため、再エネ開発に携わる技術者は、国際基準に基づく 建設契約 を知っていく必要があり、非常に重要な知識になると考えますので、私の経験の範囲において、重要と思われる事項を記載していきたいと思います。

契約の原則

契約というのは、その内容や形態にかかわらず、OfferとAcceptanceが口頭であろうと、書面であろうと、当事者同士が相互に確認されて初めて契約として有効となります。これが契約の原則であり、この原則が存在しないと、契約関係の成立はありません。このOfferとAcceptanceというのは日常的に意識せずに行われていることも多く、知らないうちに非常にまずい立場に立っているということもしばし見られます。

OfferとAcceptanceの関係

Offerとは

Offerとは、何かを相手に申し入れて、その申し入れに対して、同意もしくは拒否を求める行為です。工事においては、必ずしも書面とは限らず(in writeing)、口頭もあるわけです。よって、自分が同意できないようなOfferに対しては、それに対して明確な態度をとらないと、そのOfferは契約的に有効なものとして存在する可能性がでてきます。

Acceptanceとは

Acceptanceとは、相手の申し入れに対して受け入れを表明する行為です。ここには、Yesか、Noしかなく、日本的な玉虫色の受け入れ方は、西欧の契約観には存在しません。

約因とは

この契約の原則が重要となるのは、交渉時であり、交渉とは議論と論争を積み重ねることによって、ある同意の可能な条件を見出すことであり、OfferとAcceptanceを積み重ね、その積み重ねた結果を約因(Consideration)として、広義な意味での契約が成立に至った起因として定義される。

日本と西欧での交渉の違い

西欧の交渉では、自分の置かれている立場と状況を明確にして、同様に相手の立場も明確にしたあとに、相互の立場の間に存在する相違(Gap)を確認して、いかに責任と義務を分担しながら、その溝を埋めていくかというのが基本的な考え方です。その溝を埋めるために、どのようにOfferし、何をAcceptanceしていくかが交渉であり、相互で合意した内容を契約関係で拘束することになります。日本では、調和を重視するため、その溝を明確にせずに交渉を進めるということがしばし見られます。しかしながら、その溝、また不完全性から発生する問題を解決する手段として、発注者はお金を支払い、請負者は仕事を行うということになります。西洋では「その溝をうめるために支払われる対価を確認してから仕事を始める」のに対して、日本では「必要な支払いは誠意をもってなされる」という前提に立って、交渉および仕事をするという違いがあるように思います。

契約の原則に基づいた交渉

こうしたことから、常にOfferとAcceptanceの間に定量化する努力が必要で、

  • 定性的なOfferに対しては、標準規格などにより定量化を行い、Acceptanceの判断を行う。
  • 相手のOfferに矛盾がある場合、また複数の選択がある場合には、契約的に自己にとって最も有利なものを選択してAcceptanceを行う。
  • 定量的なOfferをされた場合には、契約的に最小限の条件を設定したうえでAcceptanceする。
  • 無限責任を要求するようなOfferに対しては、それを限定するCounter Offerを用意し、それに基づいて限定されたAcceptanceを行う。

などが考えられます。このように、相手のOfferに応じて、どのようにAcceptanceするか、相手の提示する金額を変えたり、また工事に存在するリスクを最小限にすることができます。この契約の原則を十分に理解しておけば、 建設契約 交渉において、海外の企業相手に不利にならないように交渉が進めていけると思います。

ABOUT ME
Paddyfield
土木技術者として、20年以上国内外において、再エネ 事業に携わる。プロジェクトファイナンス 全般に関与、事業可能性調査 などで プロジェクトマネージャー として従事。 疑問や質問があれば、問い合わせフォームで連絡ください。共通の答えが必要な場合は、ブログ記事で取り上げたいと思います。 ブログを構築中につき、適宜、文章の見直し、リンクの更新等を行い、最終的には、皆さんの業務に役立つデータベースを構築していきます。 技術士(建設:土質基礎・河川、総合監理)、土木一級施工管理技士、PMP、簿記、英検1級など